ごあいさつ

脳梗塞・脳出血の方のリハビリでの容態変化(セラピスト向け)

 

○容態変化

高齢者は高血圧や高血糖といった様々な内科的な問題も併せ持っており、脳血管障害でも調整機能が低下している場合が多いです。その為、運動療法や物理療法での刺激に対して容態が変化することが常に考えられるので注意しておきます。そこで、客観的な生体情報のモニタリングの数値の変化に常に注意を払うことも大切でありますが、この数値変化だけにとらわれず、患者の表情や状態の変化にも目を光らせることが重要であります。すなわち、中止基準を基盤においていても、これらにとらわれることなく、セラピストが異常を感じたら中止することは重要です。また、周囲の環境にも注意を払い、外気温が高ければ、水分摂取を促す。また、室温や湿度の調節にも配慮します。

 

 

 

 

 

 <理学療法の中止基準>

 

 ・収縮期血圧30mmHgの上昇、または20mmHg以上の低下が認められた場合

 

 

 

・脈拍(安静時)は50~90回/分、120拍/分以上の頻脈や脈拍の30%以上の増加で中止する。

 

 

 

 また、危険な不整脈がないことを確認する。

 

 

 

・呼吸数は15~25回を目安とし、それ以上の場合は原則として中止する。

 

 

 

・その他、全身の体力消耗に影響を与える要因を確認する。

 

 

 

*正常値ならびに基準値

 呼吸数:10~20回/分

 心拍数:50(60)~90(100)回/分

 血圧 :100~140(収縮期)、60~90(拡張期)

 SpO2:95~98%

 

 

 

 

 

 <容態変換時の対応>

ⅰ:人を集める(病棟スタッフへの報告を依頼する)。*発見者は患者さんの側を離れない。

ⅱ:意識障害の有無、自発呼吸の有無、脈拍は触診可能かを確認する。

ⅲ:気道を確保する。

ⅳ:観察や体位変換を行う。(嘔吐時には左側臥位)

ⅴ:患者さんの安全を確保する。

 

 

 

 

 

 <チェックポイント>

・バイタルサインの測定・各モニター装着

・意識障害の有無と程度

・神経症状の有無と程度

・瞳孔異常

・失禁の有無

・けいれんによる外傷はないか。  etc. 

 

 

 

  

 

<けいれんについて>

病態:大脳皮質の神経細胞の異常興奮によっておこる全身的、局所的で発作的、不随意的な筋肉の収縮をいいます。

発作時の対応:

ⅰ:人を集める(心肺蘇生の準備と医師への報告を依頼する)。*発見者は患者さんの側を離れない。

ⅱ:意識障害の有無、自発呼吸の有無、脈拍は触診可能かを確認する。

ⅲ:気道を確保する。

  ・頭部を横に向ける。

  ・口腔内の嘔吐物、唾液の吸引を行う。

  ・酸素投与を開始する。

ⅳ:けいれんに関する観察を行う。

  ・どこから始まり、どのように始まったか。

   全身的か、局所的か。

  ・強直性か、間代性か。

  ・頭と眼球の位置

  ・持続時間

  ・失禁の有無

 

 

チェックポイント:

 

   ・バイタルサインの測定・各モニター装着

   ・意識障害の有無と程度

       ・神経症状の有無と程度

   ・瞳孔異常

       ・失禁の有無

       ・けいれんによる外傷はないか。

ⅴ:患者さんの安全を確保する(転倒・転落予防、衣服を緩める、打撲予防)。

 

 

 

治療:抗けいれん薬の投与

 

 

<低血糖症状>

・低血糖症状がみられた場合はすぐにリハビリを中止し、すぐに飴等を摂取し血糖値をあげる。 

 

 1015分で症状の改善がない場合には、医師の診察を受ける。

 

 

 

 

 

 

 

<血圧低下>

 ・排便の際にいきむことで血圧が低下し、意識低下することもある。