ごあいさつ

転倒予防の運動について

 

○転倒

 

・転倒により5470%に外傷、612%に骨折が起こる。

 

・約60万人が骨折・転倒により要支援・要介護状態になる。

 

 

 

○転倒予防の運動療法

 

・バランス運動と筋力増強運動を中心に、柔軟性運動、持久性運動、立ち上がり・歩行などの機能的運動を複合的に行った方が効果が期待できる。(バランス運動には、静的バランスと動的バランス、二重課題などの要素を含める。)

 

・1日60分、週2~3回、2~3ヶ月の運動療法が有効。

 

・個別の種目や運動強度については不明な点も多い。

 

*個別性を考慮しないグループトレーニングでは、転倒リスクの軽減の効果が認められなかった。

 

 

 

<柔軟性トレーニング>

 

○種目:

 

持続的伸張またはPNFを用いたストレッチ

 

○強度:

 

つらくなく、軽度の緊張感のある程度

 

(ストレッチされて気持ちが良い程度の伸張を感じながら)

 

○時間:

 

10~30秒の持続的伸張、PNFでは6秒間の筋収縮に続く10~30秒の他動的伸張

 

○回数:

 

各筋群を各34

 

○頻度:

 

23回/週以上

 

 

 

<高齢者の筋力トレーニング>

 

○種目:

 

殿部筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、胸部筋、広背筋、三角筋、腹筋などの主要な筋群を対象に810種目以上行う。(運動例参照)

 

○強度・反復回数:

 

1015RMで、主観的運動強度1213(ややきつい)くらいになる強度

 

○頻度:

 

少なくとも2回/週の頻度でトレーニングし、同じ筋群のトレーニングは2日以上間隔を空ける。

 

 

 

<持久性トレーニング>

 

○種目:

 

歩行、ハイキング、ジョギング、水泳、サイクリング(エルゴメーター)、軽いスポーツやレクレーションなど大きな筋群をリズミカルに使用して、長い時間出来る運動

 

*筋力増強運動や機能練習を、回数を多くしたり、休みをとらずに行ってもよい。

 

○強度:

 

・最大心拍数(HRmax)の6090%、低体力者: 5564

 

Borg指数(主観的運動強度):11(楽である)~13(ややきつい)

 

○時間:

 

少なくとも10分以上で、1日の合計で2060分の間欠的または持続的な有酸素運動(1020分を1セットなど)

 

○頻度:

 

35回/週

 

 

 

<バランストレーニング>

 

○静的バランス練習:

 

・片脚立ちなど狭い支持面での姿勢保持

 

・閉眼、バランスマット上での姿勢保持

 

○重心移動運動:

 

・座位や立位での前後・左右へのリーチ

 

・ボール渡し、ボール投げ、輪入れ

 

○ステップ運動:

 

・前後左右斜め方向へのステップ

 

・ステップを伴うボール投げ(マジックテープのついたボード)

 

・バトミントン、フリスビー

 

○二重課題:

 

・ボールを蹴りながら歩く

 

・計算をしながら歩く

 

・トレイに物を載せて歩く

 

 

 

○ボディイメージを高める運動

 

・狭い所や低い所を通る。

 

・床の上の印に合わせて足を踏み出す

 

○姿勢や運動の変換運動

 

・起き上がり、立ち上がり

 

・方向転換、急な停止と開始

 

○歩行練習

 

・継足歩行、後ろ歩き、横歩き

 

・障害物を置いた歩行(跨ぐ、避ける)

 

・速い歩行、遅い歩行

 

○感覚調整

 

・閉眼での運動

 

・頸部を回旋

 

 

 

1種目510分、休みを入れながら複合的に行う。

 

*少し難しい課題を繰り返し行う中で、運動学習(神経の可塑性)を促す。

 

*バランス能力を構成する要素(筋力、柔軟性など)で低下しているものがあれば、その改善を図る。

 

*重心を移動できる範囲、1歩でステップできる範囲を拡大し、身体動揺は減少させる。

 

*課題や環境を変えて段階的に適応力の向上させる(二重課題、スピード、環境)。