ごあいさつ
脂質異常症の予防・リハビリについて
○脂質異常症とは?
・血液中に含まれる脂質(コレステロールや中性脂肪)が多すぎる、もしくは不足している状態をさします。LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド:TG)の値によって診断されます。
・脂質異常症が疑われる人は、20歳以上で約14%、基準値を用いると41%(男性は30歳で増加、女性は40歳以降で急増)
・無症状で自覚しにくいです。
・運動不足や日常の生活活動が低下した状態が続くと、脂質異常症になる確率が高く、さらに脂質異常症を放置することで動脈硬化性疾患の発症要因となり死亡率が高まります。
*女性の更年期には、閉経前後から女性ホルモンが激減して、高LDLコレステロール血症のリスクが高くなります。また、中性脂肪も増加し、運動不足や悪い食習慣が重なると高中性脂肪血症のリスクが高くなります。
○脂質代謝への運動の効果
・血管内、筋肉内、肝臓内の脂質分解酵素の活性化⇒中性脂肪分解の亢進(骨格筋の毛細血管増加⇒脂肪酸の取り込みが亢進)
*運動を継続すると脂肪が燃焼しやすい体になります。
運動の習慣化により、筋のエネルギー源としての依存度が脂質に傾き、高強度運動中でも多くの脂質が消費されるように適応してきます。この機序として筋組織の変化(筋細胞中のミトコンドリア含量の増加、筋内毛細血管密度の上昇、脂肪酸化に関わる酵素活性の上昇など))が挙げられます。
○脂質代謝への運動の効果
運動強度:
・最大酸素摂取量の50%
・心拍数=138 - 年齢/2
・ボルグスケール(主観的運動強度)11~13(楽である~ややきつい)
運動の時間:1回あたり30分以上
運動の量・頻度:週3回以上(できれば毎日)または、週180分以上
運動の種類:有酸素性運動を中心に、レジスタンス(筋力)運動、ストレッチ系運動の3つをバランスよく取り入れます。
*レジスタンス運動は、筋肉量の低下している高齢者に対し軽度で有効であり、自立生活維持、有酸素運動やレクリエーションを楽しむための運動能力を維持する点からも重要です。
*ストレッチ系の運動は、障害を予防し運動の継続、血流促進のために重要です。
*短時間(10分以下)の活動を繰り返しとする運動でも脂質代謝の観点において有益な効果が得られます。