ごあいさつ

発達障がい児のための運動指導について

<発達障がい児の身体の特徴と問題との関連性とは?>

①いつもふらふらしていて、姿勢が安定していない。

②呼吸が浅く、口は半開きなど、しっかりと呼吸ができていない。

③手先が不器用で、何かしようとすると力が入り過ぎてしまう。

④左右で別々の動きをする。両手を協調的に使うことが苦手。

⑤空間認知や運動企画など、状況を考えて、予測して体を動かすことが苦手。

 

その結果、

〇課題に集中できない。

〇反対に、過度に一つのことにしか注意を向けられず、周囲に注意をはらえない。

〇適切に手足や目からの感覚情報を取り入れることができず、そのため課題に合わせて体を動かすことが出来ない。

といった問題が生じることにつながります。

 

このことは学校の勉強やスポーツなどの学習にも影響します。

また、友達や家族などとの良好なコミュニケーションにも関係してきます。

そして何よりこれらは、自分という存在を感じる。自分が好きなことに取り組む。自分を見つめ直すことにつながり、

自己肯定感を育む土台になると考えます。

 

 

 

<発達障がい児に有効な運動指導とは?>

①体幹の働きを促し、姿勢を安定しやすくする。

②様々な感覚を取り入れる経験をさせてあげる。

 軸がしっかりすることで、手や足、目から様々な感覚を”適切に”取り入れることにつながります。

姿勢が曲がっていたり、ふらふらした状態で見たり、身体の一部分に過剰に力が入った状態で、見て触って感じたものは、不適切な体のイメージを作りだしたり、

歪んだ身体や体の使い方につながる恐れがあります。

 適切な姿勢で、適切な運動をすることにより、より適切な身体イメージ、力の出し方などの獲得できます。

 

③その子が集中できる環境、課題設定、声かけなどのサポートを提供する。

 興味を引く課題や遊びの要素を組み入れて運動指導を行います。また、対象となるお子さんの性格や症状に合わせ、適切な環境、課題設定、サポートが大事になります。

 

 

 

<ブルーフィットで行っている運動の例>

①五感を育て、適切な体のイメージを築きあげます。

 視覚、体性感覚、前庭感覚、重力感覚など様々な感覚情報をたくさん取り入れる課題を行います。

また、その複数の感覚を統合して、今自分の体がどうなっているか?どのタイミングで、どの方向に、どのくらいの力加減で動けばいいか?

などを適切に感じ取る経験を積み重ねていきます。

 そのためにもまず、より適切に感覚情報を取り込みやすくするために、感覚の受容器としての手や足などの筋肉、関節の働きを高めます。

具体的には、感じ取るために必要な筋肉の柔軟性や関節の可動性をマッサージやストレッチで促していきます。

その上で、不安定な板やボールなどの上でバランスをとったり、ハンモックやブランコ、シルクサスペンションなどで回転したり揺れる感覚を経験したり、

エアトラックで色々な方向、高さ、スピードでジャンプすることで、跳ねる感覚やスピード、加速度を感じとりながら運動していきます。

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②体幹の働きを促し、姿勢の安定を図る。

 姿勢が安定していて、体の位置関係が適切に保たれていることにより、適切に周囲の環境を取り入れることにつながります。

適切に周囲の環境を取り入れられるようになることで、適切な体のイメージを持つことができ、自分の体を思い通りに動かすことができます。

また、体の軸がしっかりと安定し、体が整うことで、心の状態も安定しやすくなり、気持ちも整いやすくなると考えます。

 具体的には、しっかりとした呼吸と姿勢が出来ることを目指しています。そのためにまず、呼吸に必要な背骨・肩甲骨・肋骨の柔軟性と、体幹深部の呼吸に大切な筋肉の働きを促していきます。

その上で、いい姿勢で机に座って勉強する。立って作業をする。といった「姿勢を保持する能力」と、スポーツをする時などに、強い力をだす。速く走る。速いボールを投げる。接触しても倒れないようにバランスをとる。といった「運動をコントロールする能力」を向上させることにつなげていきます。

そのための、体幹トレーニングや不安定な状況で姿勢を保持する。力を発揮する。スピードをだす。手足を素早く動かす。といった運動をバランスボールやシルクサスペンションといった器具を使用しながら行っています。

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③楽しんだり、自分に自信をもてるようになる課題や環境を個別に設定する。

 難しすぎない、段階づけしながらの課題設定(スモールステップ)、あえて少し難しい課題に挑戦させる課題設定(チャレンジ)、

それを自身で達成できるための適切な声かけや適度なサポートを行います。

 まずは出来る課題を積み重ねてくことで、自分に自信をもったり、運動に対する楽しさを感じられる働きかけをしていきます。

同時に対象となるお子さんの性格などに応じて、達成が少し難しい課題にもチャレンジしていきます。運動学習は”自分が出来るよりちょっと難しい”位の難易度だと学習効果が得られやすいとも言われています。失敗を経験しないですすめてたくない子、経験を積んでいった方がいい段階に入っている子、その子の能力、性格、成長段階に適した課題や環境、サポートを提供していきます。

 そのため、当施設では個別または目と手の行き届く少人数で運動することにより、より個別性に対応した運動指導を行っています。

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