ごあいさつ

脳梗塞・脳出血ってどんな病気なの?

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○脳血管障害とは

脳はヒトの様々な運動機能や認知機能を司っており、そこが障害されることで、障害された部位や程度によってさまざまな問題が生じます。

 

○脳血管障害の分類

<血管が破れる>

動脈硬化性病変(動脈硬化を原因とした血管の壊死、小動脈瘤の形成)のためもろくなっている所に、高血圧が加わり、動脈が破れて起こります。予後は程度により異なります。

a.脳出血

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ⅰ.被殻


被殻の内側に運動神経や感覚神経が走行する内包があるので、麻痺や感覚障害を伴うことが多く、病巣部位の反対側に出現します。


ⅱ.視床出血


視床の外側に内包があるので、被殻出血と同様、麻痺や感覚障害が病巣部位の反対側に出現します。


ⅲ.皮質下出血


ⅳ.橋出血


ⅴ.小脳出血


出血を起こした小脳半球と同じ側に上下肢の運動失調が現れます。

 

 b.くも膜下出血

脳の表面を覆う髄膜(内側から軟膜、くも膜、硬膜)の内、軟膜とくも膜の間のくも膜下腔にある脳に栄養を送る動脈が破れて生じます。原因は脳動脈瘤の破裂が9割近くを占めます。強い頭痛が特徴となります。しかし、出血が少ないと痛みが生じないこともあります。また、再出血もしやすいので、最初は軽くても注意を要します。

  

<血管がつまる> 

a.脳梗塞

脳の動脈がつまって血液が流れなくなった状態であり、原因は大きく2つに分かれます。

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ⅰ.アテローム血栓性脳梗塞

脳を栄養する主幹動脈の内壁が、長きにわたる高血圧で傷み、傷んだ内壁にコレステロール等が付着してお粥のようなアテロームができます。アテロームによって内腔に狭窄が生じ、血小板が凝集、付着することで、血栓ができ、血管を閉塞して生じます。

  

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ⅱ.心原性塞栓性脳梗塞

脳梗塞の2割強は心臓由来で、その大部分は心房細動によると考えられています。心房細動という不整脈があると、左心房内の血液の流れによどみが生じ血栓ができやすくなります。

 

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ⅲ.ラクナ梗塞

前述した2種類と異なり、一般的に軽症で、治療による回復・予後は良好なことが多いです。


 

b.一過性脳虚血性発作

脳の動脈が詰まって、手足の麻痺や感覚障害が出現しても、血液中の線溶系因子の作用などで、24時間以内に血栓が溶解し、麻痺等の欠落症状が回復する状態をいいます。したがって、画像では梗塞巣は見られませんが、再発しやすいので治療を行う事が必要となっています。


<脳に傷がつく>

外力により脳が損傷を受けることを総称して、外傷性脳損傷といいます。

 

a.急性硬膜下血腫(SDH)

外傷などにより、脳組織の損傷による出血などが硬膜とくも膜の間にたまり、血腫になったものです。(下図)

 
b.急性硬膜外血腫(EDH)

外傷による頭蓋骨骨折で硬膜の動脈が破れて出血し、頭蓋骨と硬膜の間に血腫が出来る状態です。(下図)

  

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c.慢性硬膜下血腫

静脈からの出血で、2~3週間して血腫が大きくなり脳を外から圧迫するようになると、症状が出現してきます。

*物忘れが始まった時点の3週間から3ヶ月ぐらいの間に、何か転んだ形跡がないか確認するようにします。慢性硬膜下血腫による認知症の可能性が考えられるので受診を勧めます。

 
<脳におできができる>

 脳が腫れることで、頭痛などの症状や、脳への圧迫による各種障害が生じます。

a.脳膿瘍

b.脳腫瘍 

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<脳が変性する>


今の医学では原因が特定できないまま障害され、時間の経過とともに進行していく病気があります。このような疾患をまとめて変性疾患といいます。

 

a.パーキンソン病

脳幹の中脳にある黒質に分布しているニューロンの変性がにより、ドーパミンが欠乏して、随意運動の調節が障害されます。主な徴候として、固縮、震戦、無動、姿勢反射障害等が出現します。治療として、抗パーキンソン薬を中心とした加療がなされ、リハビリテーションも効果があるとされています。

 

b.脊髄小脳変性症

 

c.筋委縮性側索硬化症(ALS)

 

d.アルツハイマー病

  

<脳に水がたまる>

a.水頭症

なんらかの原因で髄液の流れが障害されると、障害部位より上流側に髄液が貯留し、周辺の脳を圧迫し、麻痺や認知症の症状が出ることがあります。

 

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